心感デッサン

2019.6.6
外気はこんなにも暑いのに
 空にはチューリップが咲いていた
 
後から雷雲沸き起こり
終わりに綿飴に変わっていた
 
何処へ行った


口に虫が入って体内に卵を産んだ
 腹をえぐられ 肋骨が剥き出しの

銀の白い眼を私に睨んでぎらつかせた
 あの巨大魚
 
何処へ行った


ふつうの仲良し鴨のつがい
 朝も夜も寄り添って
水路の浅瀬に這って歩いていた
 
今は蜘蛛の巣が張って
アメンボの棲みかになっている
 
何処へ行った


草が腕に噛みついた
 鋭い歯で私を斬った 

私を待つと約束してくれた
 あの けな気な 忘れられた黄色い花

 何処へ行った


鳥は上昇気流に乗って
 羽をひるがえし 翼をぴーんと張ったのだ

私の汗まみれの黒い重い足跡は
 目眩に負けて消え去って
 
何処へ行った


少女の笑い声 秒針の足取りのお爺さん 
爽やかな風の薫りは
熱風に変わり 

ぶわっと髪をかき乱す
 全ては夢と諦めの混沌

何処へ行った

  
いつまで続く 儚い幻と暗い明け方
 ヒヨヒヨヒヨと誰より早い渡り鳥
 
私は何故起きていて
消え去るお前さんの声を聴く?  

何処へ行った


みんな みんな、
 何処へ行った… 
 

art chacrol and peam gllary

絵も詩も芸術の全てとして向かいます

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