人感デッサン

2019.7.18

山の向こうで火が燃え上がった
 自然の神も無慈悲な惨事に
眼を伏せ 沈黙を守るしかなかった

骨が散乱し 犬はさ迷い歩き
 虫の群れも塵となり
母は我が子の為 皮の手を伸ばす

涙枯れ果てた 黒い銃口を
 抱えて愛する者の写真を胸に
我が身を犠牲に隠れている

空から降ってくる破裂音
 血を流し逃げ回る人々
神はいずこにおられるのか

一欠片の食糧をようやく口にし
 明日の行方さえ途方に暮れ
夜を破壊する真っ赤な炎の束

焼き尽くす 焼き尽くす

暖かい食卓も人も 生き物全て
 鳥は地にねじ伏せられ
転がり回り 儚い生命を絶つ

誰が望んだろう この惨事を
 誰が望んだろう武器を取る手を 誰が望んだろう雨の代わりに降る破裂を

どの風が運んできた 黒い煙
其をブラウン管の小さな箱から目撃し 
平和を願う人
 無関係な魚の眼をした人

『新鮮じゃない』とひとつの命を口にしない輩
 曲がった物は要らないと拒む身勝手な輩 まずいと言って棄てる輩

神は誰の為にそのひとつの粒、命を生んだのか ヒトの我が儘の為なんかじゃない
本来見えなければならないものが 薄れかすれ忘れられ
 当たり前が多すぎる現状

皆 皆 仲間なのだ
 ほんとうは ひとつの輪の中で 
繋がり手を取り合う仲間なのに

彈幕は開かれる 闇を掻き消すよふに
 マジックは止まない
皆 道化師なのだ

渡り鳥よ お前達は何を見てきた 
その声を聞きたいのだ
 私の祈りを背負って旅立ってはくれないか

そして伝えておくれ
 もう放射能の黒の滴を
浴びる日々は終わりにしようと

笑っている、私の横で、笑っている
 
世界中にそんな声が響き渡れ
銃弾を込める手を 
花を撫でる手に変えよう

蝕まれた心をもつ我々にも
 光が射します様に
私の願いよ 宇宙の灯となりて

せめて一粒 この惑星全てに 光となって降り注げ…   
    

art chacrol and peam gllary

絵も詩も芸術の全てとして向かいます

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