心感デッサン
心感デッサン2019.10.9
青と蒼の『野葡萄と虹』にて
幻想と地に根付く
確かな二層の 真眼です
ぽっ ぽっ ぽっ と
額より大きな泡を吐く
空一面 蟹のひしめく集合体
つい つい つい と
己より大きな輪を解き放つ
小川一面 アメンボの縄張り群
天ばかり見ていると 蟹は泡に消えて
もやもやとなった後
家鴨に変わっておりました
地ばかり見ていると アメンボは姿消して ゆらゆらとなった後
光る水草に変わっておりました
深々と黒く息づき囁く 夜葉は
闇より花は色を失わず
天狗花も落下傘も沈黙を守ります
霞みがかった灰雲を縫って
千切っては繋ぐ時刻を示し
古巣へ真っ直ぐに迷わず帰る烏
ぐわん ぐわん
ぶわお ぶわお と
怪しい風が吹くのです
墓石の町並み 黄泉の紅い光
目線を下げれば宵が
まだまだ茂る青に閃き
私はもう、沢山、たくさんの
我が身の疲労に浸透していく
溜め息 歓喜 ざわめきを食べました
私の色は自然と眼にて
その 群れが無機物な
行列に染まる事実を記憶しますが
しかし
私には 今この時 高台から見渡す一面の この白い山並みから訪れる
透明な安堵の風が
ほんとうの私の色彩なのだと
鳥や草や花や儚い生き物らが
出迎え 包んでくれるのです…
-帰路-
『自然に還る』
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2019.10.09 18:12