心感デッサン
心感デッサン2019.10.10
-春夢-
猫のお腹 ピカピカ
淡い一律の日射を一真に集めてフワフワに顔を埋めたっぷり
その匂いを吸い込む
嗚呼 太陽の味が美味しい
木造りの廊下は 垣根柔らかく
散らばる思ひ出になる前に戻し
赤の絨毯は7つの真鍮に
フワッ とまとわれ
チリし紙から 弥生取り出す
固雪を割って色付く新緑の
フキノトウ 七つの窪みに
募る白氷も 春と云ふ名の元
片身狭く
さよならを告げる長靴跡はまだ
その溶けた泥に
べちゃべちゃだった
-夏夢-
5時 押さえられなかった衝動
タオルを巻いて 跳ねて飛ぶ
14時 渓谷にて たにしと
緑の一方通行の鮎を裸眼で追えば
天では『はよ、帰れ』と
雷雲神様の唸りがムチと成り
ゴゥゴゥ ゴロゴロ ゴー
怒りを宿しやって来る
つんざく耳鳴り
目潰しの光それは
私のいのちと引き換えに
目の前の山の松ノ木を焼いた
私はびしょ濡れの身を震わせ
其でも銀の矢はビカビカ落ちてくる
-秋夢-
祭りだ 祭りだ 豊作だ
赤蜻蛉やらが畑いっぱいに
やっている 小さき手を伸ばしても
スルリ すり抜け空に消え
学習机の脇のお屋根は
眠り逝く栗の茶と白い粉で
寂しかろう冬の前菜
風が
さらさらと 何処へ知らぬ先へ 飛ばしていくのだ
ねこじゃらしはまだ生えまい
枝を揺すって
いが栗靴の中までこんにちは チクリ痛い
鈴虫 コウロギ 草むらの合唱を潜めた
-冬夢-
辺り一面真っ白だ こんな夜は
外が昼間よりも明るい
田畑も茂みも山さえも
しんと 静寂に包まれる
眼を閉じる時間となって
こんな雪深い中
新境のわだちを作り
新聞屋さんのバイクが
冷ややかな黄色いライトを振り回し やってくる
さあさ 凍った石段を104段登ったなら
ポーン と 0時の合図
私を御守り下さる神様に
かしわ手を打ち 嘆願する
ドンスコ ドンドンドロカチ
驚く程巨大な太鼓のバチを握り
皆に部落に伝える
四季そうそう
ラムは先に逝った
ゴロンタも先に逝った
それだけじゃない
私を愛でた全てが光に飲み込まれ
ひと鎖 夢に溶けた
嗚呼…私はこの、じめったい
狭まる暗がりのトンネルの中を
手探りで歩く年月を経た
死をも志する玲瓏の足並み
目覚めれば其程 尚 冷たい
『現実』と『芸術』の狭間で
私は死ぬのか 私は死ぬのか
まだ虫の息 虹を目指せ
労働を薪とせん 芸術に変えろ
ガラクタに埋もれて
幸いを誓い願わん
貴方の眼であり
その心感や 命尽きるまで リンリンと 揺さぶり熟れう…
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2019.10.10 11:47