心感デッサン
心感デッサン2019.11.10
-鮮月-
私と一対一 黄金色の真円は
今此処に逃げずに立ちはだかった
濁った煙 くすんだ闇
傷を負った破片
見透かすがいい 何処へも隠れないから
湧き出づる 清き泉よ
近頃 いづこへ
我が 脈々と流るる血管に見当たらぬ
あのビル群に虜にされた
初々しい程の夕暮れよ
私のベクトルが 不整脈を起こす
母は汚らわしいと云い
其の不条理を
血縁保てど理解されず
私の歪みは一層輝きを増す
いつもナイフは自分に向けてきた
閉口すれば 殻に籠れば
何もかも 忘れ過ぎると
錯覚すら覚えて そうやって生きてきた
恐らく 此れからも
-霞月-
bpm116…126…133…
私の心の臓よ、いつまで耐えられる
ご用済みの悲しい塵取り
動かなくなった ぼろぼろの掃除機
皆、皆、棄てられるのだ
春の日射しは 9年前に
忘れ形見の身と成りにけり
体内の汁は白く縁取り干からびて
ひとくさり 其は此処に屍ひとつ
何故 月よ 我が身を雲へと包まん
其より悲しい事は
我が溢るる涙を 唇噛み締めて
こらえる事である
レースのカーテンが
穏やかな日溜まりをまとい
ゆらゆら ふわふわ 波打つのを
自然の営みとして
心許し 委ねた日々
まあるく 穏やかな 瞼閉じて
いつか 私の形跡も
化石化されるだろう
発掘した時には 既に
息絶えているはずだ
皆に送ろう 遠吠え 負け犬の
決死の叫びを
皆で歌おう 途切れて儚い
此の世界の真理の 悲劇と神秘を
貴方に捧げる 私の魂の声を
万人よ 芸術よ 詩人よ
死しても尚、永遠に響け…
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