心感デッサン
心感デッサン2019.11.14
-淋雲-
忘れ傘 こんな日和は
現世コオロギも震えて死する
煙った白は 薄霧 もやに成り
鮮やかな望月には 到底 届かず
闇に溶け逝く
三角の地下室 ガタガタ揺れて
私は締め付ける臓器を
握りしめ 唸り転げ回る
サイレン けたたましい
其は見えない暗がりの細い窓から
惑星の破片にて 電波を受信
地底8000mを越え
手元に着いた 一箱の誠意の幻
ショータイムが生まれ終われば
何百万の細い腕は光を得るのか
-涙雲-
深緑に まだらの 細かな黒が
幾重にも貼り付く
魂魄 半ば抜け出で
『私は死ぬのか?』と願うが
恐ろしい暗黒 我、逃げ惑う
此れから 冬侍がニカニカして
僅かなコロナをもあざけ笑う
寝息を漏らす頃は
余計なCo2も薄まり
純紅が 深蒼を押し上げ 夜明けを告げる
ムクドリが 燃ゆる実をついばんで
kyuru-kyuru-je-tui と
皆で あちこち やっている
ミミズも土のねぐらで沈黙し
後から深々枯れ葉は募り
そうしてヒリヒリする
痛い季節が足音を消して
やってくるのだ
冷たいサイダーは尚冷たく
温かいスープは更に温かい
腕よ 千切れろ
足よ 逆らえ
天から見放されし 此の我が身せめて
硬い土を持ち上げる 霜柱
春の芽生えるフキノトウと成らんことを…
0コメント