心感デッサン
心感デッサン2019.11.19
湿気と雑音の中で 虚しさが
此の暑い闇空に リンリン鳴く
激しい噴気を体に纏い
三角の水晶体の光る
ピカッと二つ蒼い偏光を
チカチカ 明滅させ目眩ませさせる
嗚呼、もう沢山の色を見たよ
小さいひとくさりのもの
伸びる執着やら 最終点には白い入り口
鳥の焼かれる臭い 見てみぬふりをして
ガラスに身を隠す
此処には化石が眠っていて
潮の満ち引きを繰り返す
避けるつもりで 片足を路肩から下ろした
痛い風が片腕を誘うのだが
こんなにも心地良い
『もう、僕は何も要らない』
『僕もだ、もう何も欲しくない』
カブトムシは何処へ行ったろう
遠くのものは近くに来て
とんがり頭の狼はニヤリ笑うのだ
白橙の鷺が夕日を受けて
キラリ腹を翻し
溢るる透き通る川に 跡に道を創っていく
私は此れからも尚
身を微塵にして 鍵を抉じ開ける
足腰をヨロヨロさせてもまだ歩くのだ
列車は黒い死人を乗せて
キュウキュウ哭きながら
燐光を放つ孤独な内に コンパスに成って逝く
私は何処へ運ばれるのだ
兵隊の群れからはぐれて
放浪者 いづこへ
そうだ、私は天へ行くのだ
お互い出逢ったら
挨拶をいたしませう…
0コメント