心感デッサン
2019.10.6
あの胎内の温かなペダルに揺られてた
脇には小さな白い滝がしぶきを跳げて
折れた竹やぶを縫い
ケタケタ笑って落ちて
幼い目線の垣根 緑が妙に濃かった
私の悲鳴は其の色を鮮明に引き裂き
宝物は振り向きながら 去ってった 去ってった
歯の出る入り口は 歪な親指がふさいだから 鮫の様になったけど
日溜まりに光るシーツ
胸一杯太陽を吸い込んだ 春うらら
ひばりは体を震わせ 雀は戯れ
何故あんなに キラキラ微量な光が降り注いだのだろうか
もみじの葉が 小さい髪を撫でる
辺り一面が季節に翻弄されて
衣替えをする 四季折々の探検家
此処に健在 しなる枝もチクリ刺さる毬栗も かけがえなき友達だった
屋根は夏の残り火を抱いて
月明かり 流れ星 背中を温めて
其だけを数えていた
夜より暗い山や木々は沈黙を守る
『ほんとう』とは其だけで良かった 『まこと』とは其が全ての答え
今では二度と辿り着けない幻
手の平から金の粒がポロポロ
零れ落ちる そうしてまた
プラスチックの宝物が生まれる
入道雲は何時も生まれたままの姿
切り取られた青空は置き換えて
鼻歌は便利な世界から童心へ
何もかも失ったが 顔を上げたら其所に
新たな芽吹いた灯火があった
曇天から雨上がり ポツリ一粒 晴れもよう 艶やかな虹を含んだ滴
水輪を広げて 眼を擦る
『現実に立っている』
振り返ると思ひ出と云うものは
見えずともいつでも其所に在る
サイズが大きくなった足跡も
苺泥棒 悪戯な懺悔
さよなら
さよなら…
土に戻るなら 前世を伐って
温もりと手を取り合い
届かなかった空に昇ろう…
永久に一緒に…
1コメント
2019.10.06 21:52